米国がこの数週間、揺れに揺れている。5月下旬にミネアポリスで黒人男性のジョージ・フロイドさんが警察官に首を長時間押さえつけられ死亡した事件を発端に、抗議デモが全米に広がっている。
日本企業にとって他人事ではないのが、米国では企業も今回の事件に対する姿勢を問われているという点だ。実はナイキやネットフリックス、アマゾン・ドット・コムといった名だたる大手企業が公式のSNS(交流サイト)に「#BlackLivesMatter(黒人の命を守れ)」という抗議活動のスローガンを投稿するなど、連動してメッセージを発信しているのだ。
ナイキは米フットボール(NFL)で有名だったコリン・キャパニックを広告に起用して物議を醸したことがある。黒人に対する警察の暴力に抗議するため、試合前の国歌斉唱で起立することを拒否し、膝をつくポーズをとった運動の中心人物である。
そういう意味で、こうした抗議活動は一部の特殊なブランドによるものと感じる方もいるだろう。ただ今回の事件では、ナイキのような先鋭的なブランディングをしている企業だけでなく、多くの企業が黒人差別に対する姿勢を明確にしているのだ。日本企業が政治的な発言をめったにしないことを考えると、その違いは非常に大きい。
日本では5月に「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグで多くの芸能人がツイートをしたことが議論を呼んだ。米国では芸能人どころか、企業もこうした政治的話題で、自らの姿勢を明確にし始めているわけだ。
ネットフリックスがツイートした「沈黙することは、共犯と同じです」という発言が、米国の今を象徴している。黒人の従業員や顧客が多い企業では、今回の事件に対して沈黙を守ることは、決して中立ではなく、現状の黒人差別を是認している行為とみられかねないということだ。
実際にフェイスブックの最高経営責任者(CEO)であるマーク・ザッカーバーグ氏は、トランプ大統領の暴力的な投稿を放置するという判断をしたため、複数の幹部クラスの社員が、ツイッター上で会社やザッカーバーグへの反発を表明する事態を経験した。トランプ氏に多額の献金をしたとされる飲食チェーン店が不買運動に直面するという騒動も起きているようだ。
とくりき・もとひこ 名大法卒。NTTを経て06年アジャイルメディア・ネットワーク設立に参画、09年社長。19年7月からはアンバサダープログラムの啓発活動とnoteプロデューサーとしての活動に従事。
日本で今すぐに同様の事態が起こるとは考えにくいかもしれない。ただ、企業のコミュニケーションに求められるものが、世界的に大きく変化し始めている。
インターネット以前、企業のコミュニケーションの中心は「広告」を軸としたメッセージだった。あくまで企業が顧客に伝えたいことだけを発信し、それ以外の話題については触れないという選択をとれた。ただ、ネットの普及により、企業の行動そのものが可視化され、ウソを隠せない時代になった。
企業が社会の問題に行動を起こして立ち向かう「ブランドアクティビズム」の姿勢が重要になっているのは間違いない。日本企業も今のうちに企業姿勢を行動で示す練習を始めておくべきかもしれない。
[日経MJ2020年6月12日付]
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June 14, 2020 at 02:30AM
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