これまで、NYを舞台にすれば、右に出るものはいないといっても過言ではないほど、数々の傑作をうみだしてきたウディ・アレン監督。本作は、ティモシー・シャラメ、エル・ファニング、セレーナ・ゴメスら、現代を代表するアイコニックな人気俳優たちを集め、監督がこよなく愛する古きよきアメリカの風情が残るNYへのラブレターの集大成とも言える作品となっている。本作で実現した、NYと雨のコラボは念願の企画であったことを振り返る。
「NYという街には、常にロマンスの可能性があって、雨が降るとより美しくなる。だからいつか、雨の降るロマンチックなNYの映画を撮りたいと思っていた。ただ雨の降る街で撮影するというのは、それほど簡単じゃない。だから長い間機会を待って、今回とうとう撮れることになった。この映画では雨は、ロマンスや愛を象徴している」
登場するキャラクターも魅力的な本作。ティモシー・シャラメ演じる主人公ギャツビーのキャラクターは、お金を“社会的地位の象徴”として考える両親とは対照的。劇中ではポーカーに興じたり、クラシックなジャズナンバーを弾き語る姿が描かれている。
「彼は天性のギャンブラー。ギャンブルはとても誘惑的で依存性の高いものだし、ギャンブルで得た金はどうせすぐになくなる。彼は金に執着していない。彼は独自の世界観を持っていて、自分の興味あること以外には関心がない。音楽でも何でも、昔のものが好きなんだ。それと雨の日もね」
ギャツビーの恋人のアシュレー(エル・ファニング)については、「平和な町で育ったアシュレーは、乗馬、釣り、ゴルフなどをして育った知的で上品な女性だが、NYで生きていくのに必要な抜け目なさは持ち合わせていない」とコメント。
次回作『Rifkin's Festival』(原題)の撮影も終え、ほぼ毎年一本自らの脚本・監督で名作の数々を生み出しているウディ・アレン監督。その想像力の源とは?
「僕はコロナ禍になる前は、定期的にクラリネットを弾き、大好きな野球やバスケットボールを観て、家族や友人との時間も大事にていた。そういう日常の中からアイディアという浮かんでくるものなんだよ。毎日コンスタントに仕事をし続ける、というのが長く続ける秘けつだと思う」
普段の生活が創作へとつながっていく。新型コロナウイルスの感染拡大による生活の影響や、これからの世界については次のように語った。
「間違いなく悪夢の様な状況だと思っている。だけど、可能な限りこれまで通りの日常を生きようとしている。この夏、本当はパリで撮影するはずだったんだ。でも、それができないわけだから、仕事面では完全に大きな被害を受けた。でも、どこかの時点でワクチンを見つけて、パンデミックが終焉してくれるんじゃないかと願っている。それが、今年なのか、来年になるのか分からないけど、これまでのNYに戻ってくれると思いたいね」
最後に本作を楽しみにしている日本の観客へメッセージ。
「この映画を観て楽しかったと思ってもたえたらうれしいよ。今は不安な時期だけど、もし可能なら劇場に足を運んで観てもらいたいと思うしね。劇場を出た後に、良い体験だったと思ってもらえたらうれしい」
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July 01, 2020 at 10:00AM
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ウディ・アレン監督が語るコロナ禍のいまのニューヨーク:紀伊民報AGARA - 紀伊民報
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