■連載/阿部純子のトレンド探検隊
米国版New Standを踏襲しながら次代性を取り入れたキュレーションを展開
東北新社とWhateverが共同出資し2019年に設立した新会社WTFCは、自社が展開するオフィス兼コワーキングスペース「WHEREVER」1階に、ニューヨーク発のセレクトショップ「New Stand Tokyo」を六本木にオープンした。
アメリカ発祥の「New Stand」は、ニューヨークの地下鉄駅にある老朽化したニューススタンド(売店)を、日本のキオスクからヒントを得てリノベーションした、デジタルガジェットやデザインコンシャスな雑貨を扱うセレクトショップ。“A day improvement company”をテーマに、地下鉄を利用する人たちが、毎日新しい発見ができる店というのがコンセプト。ユニオンスクエア駅を皮切りに、現在ではマンハッタンに42店舗、アメリカ各地の空港13店舗を展開中。東京店はアメリカ国外初、アジア初の店舗となる。
マンハッタンにあるNew Stand Brookfield Placeの店舗
「Whateverは広告やブランディングなどを生業としているが、本来使っているクリエイティビティを違うジャンルに応用し、新しいビジネスを生み出す新規事業開発を主眼に置いたチームとして昨年、東北新社と共同でWTFCを立ち上げた。コワーキングスペースのWHEREVERは第1号プロジェクトとなる。
1階のスペースが路面にあってウィンドウも大きく、オフィスではなくパブリックに開けているスペースで運用したいと考えた。僕らとしては新しい人とつながる場にしていきたいと思い、他のブランドとコラボレーションすることでリアルな店舗としてオープンする案が浮上。僕の友人のNew Stand社長のアンドリュー・ダイヒマンは、もともと広告代理店の社長から脱サラしてNew Standを立ち上げた。遺伝子が似ていると感じ、アドバイスを聞かせてもらううちに、話が広がり東京に出店することになった。
コンセプトに関しては、日本であることやコロナの状況下であることから一から見直し、『ニュースタンダード』『次代性』をテーマに、次の時代に必要とされるプロダクトをキュレーションすることになった」(クリエイティブディレクション担当のWTFC CCO / Whatever CCO 川村真司氏)
商品のキュレーションに関しては、テックだけにこだわらず、サステナブルなつくりをしているブランド、オーガニックなマテリアルを使っているブランド、作り方のプロセスにもストーリーがあるブランドを集めている。
「ニューヨーク最先端ブランドもあれば日本発信のブランドもあり、日本のブランドがニューヨークでも販売できるような窓口の役割も果たしていきたい」(川村氏)
フェムテックなど注目のプロダクトが目白押し
〇Femtech
同店の目玉商品となるFemtech(フェムテック)は、女性(female)と技術(Technology)を掛け合わせた言葉で、女性特有のウェルネス課題をテクノロジーが解決するプロダクトやサービスを指す。
「女性がもっと生きやすくなるための使われているテクノロジー・フェムテックが、大きなムーブメントとして世に出てきており、その流れは次の時代にはスタンダードになるプロダクトであると考え、日本のフェムテック市場の活性化に関わっているfermataに、パートナーとして運営にも参画していただいた」(川村氏)
生理用ショーツや骨盤底筋トレーニングデバイス、月経カップ、スマートバイブレーターなど、女性のウェルネス、セクシャルウェルネスを解決するプロダクトが揃う。こちらに関しては、別記事にて詳しく紹介する。
〇SOMA 「グラスウォーターボトル」(3300円・税込以下同)
ニューヨークに拠点を置く会社SOMAが展開する、素材や環境へこだわり、農薬なしで早く育つバンブーや再生可能な素材を使用したサステナブルなウォーターボトル。SOMAとはサンスクリット語で「神様の飲み物」という意味を持つ。ガラス製で煮沸消毒ができ、においや味が残らない。売上げの一部は、安全な水を飲むことのできない発展途上国の人々への資金提供プロジェクトに寄付される。
〇FOOD TEXTILE 「Packable Apron」(8690円) 「Link T-Shirt」(6380円)
フードテキスタイルは廃棄予定の野菜や食材に含まれる成分から染料を抽出して染められた、サステナブルなプロジェクトブランド。従来は捨てられていた不揃いな規格外の食材や、カット野菜の切れ端、コーヒーの出しがらなど、食品関連企業や農園から買い取り、植物に含まれる成分を抽出、それを染料にして染め上げる。
エプロンは、使い勝手の良い大きめのポケットで、折りたたんでエプロンのポケットに収納できるので持ち運びにも便利。Tシャツは食べ物の色で染められた、ナチュラルな風合いが特徴。太めのリブで仕上げた衿元に、タイト過ぎないゆったりとしたシルエット。
〇Proef 「LAN シリーズ」「PVC ショルダーバッグ」「PVC サコッシュ」「カードケース」(4950円〜9900 円)
『現代のライフスタイルに応じた、未来のものづくりシステム』を目指し、テクノロジーの進化によって手作業が省かれていく現代において、人の手によって丁寧に作られながらも、製作工程を極限までシンプルにすることで資源の無駄を無くし、環境や社会への負担を減らす設計によって作られている。
〇のーぷら No Plastic Japan 「ステンレスストロー」(1320円)
使い捨てプラスチックストローに代わる、何度でも利用可能なストロー。「のーぷら」はステンレスストローの販売以外に、啓蒙活動やコミュニティ作りにも力を入れている。コットンの巾着に入ったマイストロー2本セットで、サイズ別の専用クリーニングブラシ2本付き。THINストローはアイスコーヒー、レモネード、お冷などにぴったりな6mmの細めのデザイン、太めのTHICKは12mmで、スムージーやタピオカティーなどにも使える。
〇VAISA 「STANDARD GREEN TEA」(540 円)
「価値ある時間を大切に」をコンセプトにした、お茶を通じて、人とのコミュニケーションや時間の大切さを伝えるブランド。パッケージに住所とメッセージの記載ができ、切手を貼ればそのままポストに投函することが可能。
〇椎茸祭 「oh dashi 椎茸だし【椎茸のほっこりとした天然のうま味】」(各10袋入 1296 円)
本国産の原木椎茸を使ったおだし、肉や魚などの動物性の食材、保存料、人工添加物、酵母エキスなどは使っておらず、ビーガンでも安心して飲める。150mlのお湯を入れればおだしスープができあがり、鍋や麺類など、様々な料理にも使える。「oh dashi椎茸」「oh dashiトマトだし」の2種。トマトだしはお湯だけでなく、冷水やお酒で割ってもおいしい。
〇Cotodama 「Lyric Speaker Canvas」(18万1500円)
再生した楽曲の歌詞が透過スクリーンに浮かび上がるCanvas型スピーカー。お気に入りのレコードジャケットを飾るように、歌詞を部屋に美しく飾る。
〇Whatever 「WFH Jammies」(9900 円)
リモートワークが推奨され、ビデオ会議が一般的になってきた世の中で、“上はビジネス、下は部屋着”をテーマに、リラックスして仕事ができるよう開発されたリモートワーカー用部屋着。
〇NYON by Knowlita
日本初上陸となる、ニューヨークをテーマにした、ニューヨーク発のアパレルブランド。創業者Quincy Moore が手掛けるデザインは高く評価され、New York Knicks やAmerican Expressなど、数多くの団体や企業とのコラボを果たしている。8 月取扱開始予定。
〇Zach Lieberman
ニューヨークを拠点に活動中のアーティスト兼教育者、Zach Liebermanが手掛ける絵画作品。コーディングによって描かれる個性的なデザインが特徴。「blob family」などの絵画作品(3850円〜1万9800 円・価格は変更する可能性あり)を扱う。8 月取扱開始予定。
【AJの読み】ジャンルを超えた“未来の日用品”の商品キュレーションに注目
CMや映画など様々な映像作品、イベントのプロデュースをしている東北新社は、リテール事業としてインターナショナルスーパーマーケット、NATIONAL AZABUやDen-enの運営など、多角的な経営を行っている。その東北新社とクリエイティブ集団のWhateverがタッグを組んだのがWTFCであり、第1号プロジェクトの「WHEREVER」&「New Stand Tokyo」は、新たな化学反応の好例といえる。
「多角経営のノウハウを活かして、グローバル、エシカルな視点を持ち、WTFC、Whatever、fermataのメンバーがキュレーションした商品を展開するセレクトショップを作った。ここはショップであると同時にリテールテックの実験場であり、社会とのコミュニケーションの実験場。アイディア、人、情報、モノが集まるこの場所でこれからの未来、これからのスタンダードはなにかを次代性をとらえたキュレーションを通じて、様々な人と新しいモノを生み出していきたい。
図らずも、コロナ禍をきっかけとした大きなパラダイムシフトが起きたことで、社会に対して『これからの未来』や『これからのスタンダードとは何か?』を発信していくことの意義が、今まで以上にあると感じさせられた。世の中に新しい価値を提供できる場になればよいと思っている」(WTFC CEO 吉田大二氏)
生理用ショーツがディスプレイされている奥に、駄菓子が並べられていたりと、テックプロダクト、アパレル、雑貨、食、アートと、ジャンルを問わずストーリーのあるプロダクトをキュレーションした内容はとても興味深い。フェムテックのように今はまだ新しい選択肢として提案されている商品でも、いずれは当たり前となる日用品になるのでは?という可能性を感じさせるプロダクト群は注目に値する。
文/阿部純子
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August 02, 2020 at 08:04AM
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