◇海外メジャー◇マスターズ 最終日(15日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)7475yd(パー72)
昨シーズンの米ツアー年間王者(フェデックスカップチャンピオン)で世界ランキング1位。実績抜群のダスティン・ジョンソンが、4打差首位から出た最終日に後続を寄せ付けない「68」で通算20アンダーとして、大会新記録で「マスターズ」を初制覇した。ある意味、シナリオ通りに映った日曜日だが、優勝インタビューで流した涙は、その道程の困難さを示していた。
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「夢が現実のものになった。子供の頃からマスターズチャンピオンになることを夢見てきたから…」と言って、ジョンソンは涙をぬぐった。オーガスタから北東に車で1時間ほどのサウスカロライナ州コロンビアで生まれ育ち、幼少期から、これを決めたらマスターズ優勝だ!と夢想しながら打ったパットは数知れない。マイクを向けられ、「コースでは(感情を静めるのが)得意なんだけどね。ここではダメだよ」と照れ笑った。
イム・ソンジェ(韓国)、アブラム・アンセル(メキシコ)との最終組。「ずっと緊張していた」というジョンソンがポイントに挙げたのは、11番のパーセーブだ。前半を3バーディ、2ボギーで折り返し、迎えた11番は2打目をグリーン右に外したが、アプローチを1.2mに寄せてパーセーブ。続く12番もパーとして危険なアーメンコーナーを無傷ですり抜け、「少し息ができるようになった」と落ち着いた。
ツアー通算23勝でメジャー1勝。それでも、メジャー最終日を過去4度首位で迎えながら、これまで一度も勝てなかった。「良いプレーをしないと勝てないのは分かっていた。けっして楽ではなかったよ」とジョンソンは言う。「一日中、心の中で自分自身と戦っていた」
7番以降、リーダーボードは見なかった。「自分のプレーをしようと思った。風と残り距離が合っていれば攻撃的に。そうでなければ安全にパー狙い。(リーダーボードを見ることで)自分のプレーに影響を与えたくなかった」という。
最終18番。バーディパットを30cmショートさせると、同組の選手を待たずにウィニングパットをタップインでカップに沈めた。タイガー・ウッズを上回り、マスターズで11ラウンド連続アンダーパーの新記録も樹立した。だが、夢にまで見たマスターズ初優勝の瞬間は、あくまでもさりげなかった。
キャディの弟と抱き合うと、パートナーのポーリナさんが出迎えて祝福をしてくれた。2人の息子はコースには入れず、通りを挟んだ外の宿舎で待っている。「この優勝は自分にとって非常に大きな意味がある。家族やポーリナ、そして子どもたちにとってもね。彼らは僕がいつもどれほどこの瞬間を望んでいたか知っているし、それこそ僕が厳しい鍛錬をする理由だと知っているから」。ジョンソンの涙には、夢のために犠牲にしてきた人や時間への感謝の念が込められていた。
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