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【文芸時評】3月号 早稲田大学教授・石原千秋 「政治的正しさ」は正当か - 産経ニュース

石原千秋早大教授
石原千秋早大教授
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 1月パリ・メンズコレクションのコムデギャルソン。黒人が多く使う髪形コーンロウのウィッグ(かつら)を白人モデルに着用させて批判されたという。これに対する「誰かを傷つける意図はなかった」というコムデギャルソン側の謝罪(?)は、いかにも官僚的でいただけない。問題は意図があるかどうかではなく、結果だからだ。殺す意図がなくても殺したら「殺人」である。「意図がなかった」といって「殺人」にならないのなら(実際、多くの裁判では「殺意」の有無が争われるが、それは量刑の問題である)、原理的には何をしても罪に問われないことになる。正当防衛は殺意の有無ではなく、結果の正当性の問題である。

 表現はすべてコンテクスト(文脈)によって意味を持つ。つまり、原理だけでは決定できない。文芸批評家のフィッシュが言うように、コンテクストのない文を示されても、人はその文が多く使われるコンテクストを想定して聞く。「傘をさそう」と聞けば、雨が降っているのだと思う。恋人同士の相合い傘だとは、ふつうは思わない。「人を殺してはいけない」という言葉も、これから戦場に行く兵士を傷つけ得る。「死んでこい」ということと同じだからだ。ハラスメントはいま「相手が不快に思ったらハラスメント」というフェイズ(局面)に入ってきている。原理的にはすべての言動がハラスメントになり得る以上、もう何を言ってもいけないし、何をやってもいけないことになる。僕が言いたいのは、「政治的正しさ」はすべての言動を封じ込め得る局面にすでに入っているということだ。現実に差別がなくなっていないことにはまちがいないが、「政治的正しさ」の「政治的正しさ」について考えておくべき時期に来たのではないだろうか。少なくとも、「政治的正しさ」は芸術を殺すとは言っておきたい。

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February 23, 2020 at 10:00AM
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