<新型コロナウイルスがニューヨークに蔓延する中、今問題の1つになっているのは、このホームレス問題だ......>
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染数急増が懸念されるアメリカ。感染者数は5万8998人で、中国、イタリアに次ぐ多さだ(死者795人)。
国内でもっとも感染者数が多いのがニューヨーク州だ。人口約1950万人のニューヨーク州では、感染者数が5146人、死者285人。そしてその中でも人口約860万人のニューヨーク市がもっとも感染者最多で1万7856人となっている。
ホームレスにも広がるウイルス感染
なかでも、ニューヨークのホームレスの人々への新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されている。ニューヨーク市では子どもを含む7万以上がホームレス人口と言われている。これは全人口の125人に1人の計算だ。市内には450箇所のホームレスシェルターがあると言われており、そこで約5万8000人が寝食を共にしている。またすべてのホームレスの人々がそれらの施設を利用しているわけでもなく、約4000人前後の人々は路上生活者(駅や地下鉄、公共スペースなど)と言われている。
新型コロナウイルスがニューヨークに蔓延する中、今問題の1つになっているのは、このホームレス問題だ。
3月19日に初のホームレス感染が確認されていたが、24日になって市内22のホームレスシェルターにおいて感染者数が30人に激増したと、地元の複数のメディアが報じた。
記事によると最初の感染者は病院に搬送され、シェルター内のルームメイト8人がシェルター内の別の場所に14日間の予定で隔離されているという。
現在確認されている陽性判定の30人のうち8人は病院での治療が必要とされており、10人は別のシェルター施設内で隔離状態、7人はそれぞれの施設内で「自己隔離」、5人はシェルターを去ったとされている。
州ホームレスサービス局(DHS)は今後拡大するであろうホームレスの感染者のために、ホームレスシェルター内に500人分の隔離スペースを用意している段階だという。だが、きれいに整えられているとは決して言えない衛生環境下にあるシェルターは、今後新型コロナウイルスの「繁殖地」になるのではないかと懸念も多い。また、シェルターで働く人々への感染拡大も心配されている。
「シェルター内でのウイルスの封じ込めは困難な状態にある」
ウイルスの封じ込めとして、ニューヨーク州では3月22日夜から市民に外出制限(ロックダウン)を発令した。それでも市内ではここ数日、毎日2000~4000人ずつ感染者が増加している。州内での一般的な封じ込めにも手を焼いている状況において、ビル・デ・ブラシオ市長は記者会見で「事実上、シェルター内でのウイルスの封じ込めは大変困難な状態にある」と述べている。
ホームレスの感染者が増えていくと、シェルター内での自己隔離が難しいため、州内の大型展示会場や大学キャンパスを利用して進められている臨時の病院施設に搬送されていくことになるのかもしれない。医療従事者や、マスク、防護ガウン、ICUの人工呼吸器なども足りない中、州や市が、今後増え続けるであろうホームレスの感染問題にどう立ち向かっていくのか注目される。
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March 26, 2020 at 03:00PM
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