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NY、コロナウイルスでパニック 911以来の混乱 (津山恵子) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース

2月3日、アイオワ州都デモインのホテルで、朝食に降りていくと、黄色いTシャツの人であふれかえっていた。黄色の地に青でPETEと書かれている。黄色と青は、民主党大統領選候補のピート・ブタジェッジ・インディアナ州サウスベンド前市長のキャンペーンカラー。つまり、このホテルは、全米から集まった「メイヤー・ピート」ファンのボランティアが泊まる拠点となっていた。

この日、アイオワ州で米大統領選挙の党候補者指名争いの初戦となる党員集会が夜7時から開かれた。では、はるばる遠くから来たボランティアは、アイオワ州での選挙権もないのに何をするのか。「ドア・ノッキング(戸別訪問)」だという。

過去の取材でこれを聞いた時、驚いた。戸別訪問は、日本の公職選挙法では禁止されている。そこで、2016年大統領選挙の際、民主党の予備選挙候補者だったバーニー・サンダース上院議員(今回も有力候補)を支持するボランティアが戸別訪問するのに同行してみた。東部マサチューセッツ州ボストンでの出来事だ。

まず、主な選挙区ごとにあるフィールドオフィス(現地事務所)に集合。次々に到着するボランティアが見知らぬ他人と数人ずつに分けられ、バンに乗せられ、私たちは郊外の労働者階級の住宅地で降ろされた。3時間後に同じ場所でピックアップされるという。エイダという若い女性とペアになる。

一人一人は、ノルマとなる地域の「有権者名簿」と、その有権者の家がマークされた地図が入ったパッケージを渡されて、出発。ここでまた、目が点になる。有権者名簿なるものが、なぜ無数のボランティアの手に渡っているのか。「名簿を売っている業者がいるの。選対本部は、みな買っているし、激戦州ほど高いらしい」とエイダ。

これは事実で、選挙好きという大石格・日経新聞上級論説委員兼編集委員の「アメリカ大統領選 勝負の分かれ目」によると、共和党支持者が多いレッド・ステーツ(赤は共和党の色)ほど高く、私が住むニューヨークはブルー・ステーツ(青は民主党の色)は、無料という。

名簿は、民主党に登録した世帯主の名前、性別、年齢、住所が記載されている。さらに、訪問した際「在宅」「不在」「拒否」「引っ越した」「立ち入れず」「死亡」のどれかにチェックする欄、誰に投票するのか書き込む欄、サンダース以外の名前を告げられた際、投票したい人物のトップ3に入るかどうか記入する欄が続く。

エイダと歩いた地域は、労働者階級の住宅地なので、当時のサンダースのライバル、ヒラリー・クリントン元国務長官は「雲上の人」として嫌われていた。サンダースの「国民皆保険」や「公立大学の授業料をタダにする」といった政策は、この階級の人々には響くものがあり、在宅していた人は皆「サンダースに決めている」と言うため、訪問は拍子抜けするほど簡単だった。

ドア・ノッキングとはいうものの、実際はベルを押して、出てきた人に明るく話しかける。「バーニーのメッセージを伝えにきました!」。別れ際には「あなたの投票所は、どこそこで、朝8時から夜9時まで投票できます。家族と友人も連れて行くように!」と念を押す。

渡された名簿は、バンで事務所に戻ると係に返却する。「不在」「拒否」チェックが入った人と、サンダースに投票すると言わなかった人は、投票日までに別のボランティアが攻めにいくことになる。

アメリカには住民票がなく、役場が住民のリストを持っていない。しかし、有権者は「共和党」「民主党」「無所属」として役場に登録・届け出しないと選挙で投票できないため、有権者名簿は、選挙をする際、唯一頼りになるリストとなる。

昨年11月、ニューヨーク州の特別選挙があった際、友人のアップルオタク、グラントについて投票所に行った。役場に住民名簿がないため、ハガキが来ている訳でもなく、投票所に行って、「グラント・タッカー 住所はムニャムニャ」と言うと、ボストンで見たのと同じ作りの有権者名簿で係が名前を探し、見つかれば、身分証明書も見せずに、投票に進む。

これも驚きだ。身分証明書なしで、果たして本人ではない人が投票できるのではないか。有権者名簿を手に入れ、「死亡」にチェックされていて投票に行きそうもない人を探し出し、その人の名前と住所を暗記し、投票所に行けば・・・。これも実はある話だ。

もちろん、身分証明書を提示しないと投票できない州もある。ところが、運転免許証などを見せるのは、「本人確認」のためではない。保守派が強い州で、移民など民主党支持者でありながら、運転免許証などを持たない人々が、投票するのを阻むために設けているルールだ。

さて、2月3日に戻ろう。朝、ホテルで朝食を共にしたピート・ファンらは、数日前からアイオワ州入りし、気温零度前後の中、「党員集会に行って、ピートを支持しよう!」と日々、歩き回ってきた。朝食の間は、「一番おもしろかった戸別訪問」の話をシェアしていた。

「世帯主の名前が名簿でモニカとなっていて、女性だと思ってベルを押したら、体重100キロ以上のむくつけき男性が出てきて、『モ、モ、モニカ??』と聞いたら、旦那だった。旦那が共和党支持なのか無所属だったからだろう」

「おっぱいが透けて見えるランジェリーを着た女性が出てきて、ピートのボランティアだと言ったら、玄関の外に出てきちゃって、興奮してピートの話を始めて、どこを見ていいかわからなかった」

皆で笑って、体温が上がったところで、嬉々としてドア・ノッキングに出て行った。

アイオワ州党員集会は、投票所に行って投票するタイプではなく、学校の体育館などに有権者が集まり、支持する候補者のグループを作り、グループごとの頭数をカウントする。そこから代議員の数を計算し、候補者ごとに集めた代議員の数を競うという原始的な仕組みだ。しかし、それだけに直接民主主義的で、アイオワ州の多くの住民は、党員集会を行うことに誇りを持っている。

この党員集会の仕組みは、次回に詳しく紹介したい。

アイオワ州党員集会は、以下の結果で、ブティジェッジとサンダースが接戦、二人とも勝利宣言を出した。

ピート・ブティジェッジ(26.2%)

バーニー・サンダース(26.1%)

エリザベス・ウォレン上院議員(18.0%)

ジョー・バイデン前副大統領(15.8%)

最有力候補とされていたバイデン氏が4位で、ホテルで出会った人々が支えたブティジェッジは今のところ、トップ。4日朝、お祝いを言おうと思い朝食に降りていくと、ほとんどの人は早朝、チェックアウトした後だった。

(了)

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March 14, 2020 at 04:48AM
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