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グーグルが政治的な検索ワードの「オートコンプリート」を制限したが、そこには大きな課題と限界がある - WIRED.jp

グーグルは選挙候補者と政党に対する中立性を保つために、「Google 検索」のオートコンプリート機能に制限を加えたと9月10日(米国時間)に発表した。それにもかかわらず、この制限に反する動作を『WIRED』US版が見つけたことを考えると(グーグルは急いで修正した)、この新たなポリシーの導入は十分に進んでいなかったようである。

この制限の発表後、実際に「Google.com」の検索ボックスに「donate」(寄付する)と入力してみた。すると、ジョー・バイデンの大統領選挙運動への献金に関連する検索ワードの候補が表示される一方で、ドナルド・トランプに関連する検索ワードの候補は表示されなかった。『WIRED』US版がこの発見をグーグルに通知した後の11日、グーグルはオートコンプリート機能を巡る選挙関連の新しいポリシーに反する検索ワード候補をブロックしたと発表している。

検索ワード候補にいくつもの“穴”

グーグルは10日に報道陣に向けた説明会で今回の制限について発表し、検索結果と「Google ニュース」から虚偽や偏見を排除するためのいくつかのプロジェクトについて説明した。

グローバルポリシーおよびスタンダード担当のシニアディレクターであるデヴィッド・グラフは、オートコンプリート機能の新しいルールは米国の有権者間の分裂と選挙のインテグリティ(完全性)に対する懸念への対応であると説明している。グラフは、「人々は明確な意見をもっている」ことから、グーグルに慎重な対応が求められているのだと言う。

Google 検索に「donate」(寄付する)と入力しただけでは、大統領選の候補者に関連する検索ワードの候補は出てこくなった。一方で、構造的な人種差別をなくすよう求める運動「Black Lives Matter(黒人の命も大切だ)」の候補が2番目にある。SCREENSHOT BY WIRED US

グーグルの新たなポリシーでは、オートコンプリート機能において、候補者や政党を支持あるいはそれらに反対しているとみなされる検索ワードの候補を除外する。また、「電話で投票できます」などの投票の方法、要件、または正当性について主張する検索ワードの候補も除外されると説明されている。ところが実際のところ、検索ワードの候補に「どのように郵送で投票するか」などの質問文が表示されることがあった。

もちろん、ウェブブラウザーの「Google Chrome」または「Safari」で新たに開いたばかりのプライヴェートブラウザーのウィンドウに表示される検索ボックスに「donate to」(〜に寄付する)または「donate」(寄付する)とだけ入力した場合は、大統領候補者に関連する検索ワードの候補は表示されないことを確認している。

ところが、「donate bid」と入力すると、グーグルのアルゴリズムは検索ワード候補のトップに「donate biden harris actblue」(寄付する バイデン ハリス アクトブルー)と表示してしまう。「ActBlue(アクトブルー)」とは民主党の主要な政治活動委員会のことだ。米政治資金監視団体「センター・フォー・レスポンシヴ・ポリティクス(CRP)」によると、2020年の大統領選期間で20億ドルを超える資金を集めている。表示された検索ワード候補リストには、「donate biden yard sign」(寄付する バイデン 支持者の掲示)と「donate biden sticker」(寄付する バイデン ステッカー)などがあった。

9月10日の段階で「donate bid」と入力すると、バイデン陣営の選挙キャンペーンに関する候補が表示された。SCREENSHOT BY WIRED US

グーグルは、上記の検索ワード候補はオートコンプリート機能に対する新しいポリシーに違反していることを認めている。「今回のポリシーの適用範囲であることから、即座に対応しました」と、同社の広報担当者は説明した。その後のテストでは、「donate bid」と入力した場合は「donate body to science」(科学のために献体する)だけが表示され、「donate to bid」と入力した場合は検索ワード候補は1件も表示されなかった。

今回、『WIRED』US版が実施したテストで得た結果と同様の結果が、どれだけのGoogleの検索ユーザーに表示されたかはわからない。グーグルはコンピューターの位置情報と過去のアクティヴィティに関するデータに基づいて、検索結果を微調整するからだ。

人間による判断に傾くテック企業

グーグルのオートコンプリート機能に関する新たなポリシーと、明らかな不具合に対する素早い対応から、テック業界が政治とのかかわりにどれだけ警戒心を強めているかがわかる。

2016年の米大統領選期間中には、オートコンプリート機能がヒラリー・クリントンを支持しているという批判があった。これに対してグーグルは、オートコンプリート機能では候補者や理念を支持することはまったく不可能だという考えを示していた。同社は16年6月に『ウォール・ストリート・ジャーナル』の記事で、「非難している人たちは、オートコンプリートの仕組みを誤解しているだけだ」と主張している。

「donate trump」と入力しても、トランプ陣営の選挙運動に関連する候補は出てこなかった。SCREENSHOT BY WIRED US

テック企業はドナルド・トランプが勝利した16年の選挙以来、少なくとも表向きはより謙虚な姿勢を示すようになっている。

16年の選挙運動期間中にFacebookでの政治的な情報操作があったことが明らかになったことで、フェイスブックとその競合企業は、アプリ内の0と1を組み合わせたコードの操作が社会や政治にまったく影響を与えないと偽ることが難しくなった。テック大手は現在、社会のニーズに対する大きな配慮を表明し、予期せぬ問題が生じれば素早く対応すると約束している。

つまりテック企業は、人間の判断への依存を高めている。あるいは、人間の判断に依存していることをより意識するようになったのだ。

フェイスブックは、人工知能(AI)技術の飛躍的進歩でコンピューターによる文章の理解力が向上した結果、ヘイトスピーチの削除数が増加したと説明している。グーグルは、同様の技術のおかげで同社の検索エンジンがこれまで以上にパワフルになったと主張している。しかし、アルゴリズムは依然として、読書やその他の分野で人間よりはるかに劣っている。

微妙な判断の難しさ

オートコンプリート機能で『WIRED』US版が見つけたもうひとつの結果に対するグーグルの対応からわかることは、微妙な判断をコンピューターに委ねることはできないということだ。

検索ボックスに「donate」(寄付する)とだけ入力した場合、「car」(クルマ)、「clothes near me」(現在地周辺の衣類)、「a testicle」(精巣)など、大部分が中立的な10件の候補が表示された。その2件目の項目は、多くの共和党員が共和党に反対する理念であると考えている「to black lives matter」(ブラック・ライヴズ・マターに)だった。

グーグルによると、これはオートコンプリート機能の新しいポリシーの適用範囲には該当しない。同社の広報担当者は「政治と結び付けられている話題ですが、新しいポリシーの対象は政党または候補者を支持あるいは反対する主張と解釈できる予測に関連したものだけです」と語っている。

※『WIRED』によるグーグルの関連記事はこちら

大統領選の結果もグーグル次第──「検索アルゴリズム」がもつ影響力

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September 14, 2020 at 06:00AM
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