新型コロナ:NY市、小学校の対面授業再開 コロナ拡大下で苦渋の決断 - 日本経済新聞

ニューヨーク市は小学校の対面授業の再開を決めた=AP

【ニューヨーク=宮本岳則】米国で最大規模の学区を抱えるニューヨーク市は29日、12月上旬から小学校の対面授業を再開すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて11月19日からオンライン授業に切り替えたが、保護者が就業中に児童の預け先を確保するのに苦労するなど不満が噴出していた。米国では他の自治体も感染抑止と経済活動の両立で難しい判断を迫られている。

同市の学区は生徒数が約110万人と米最大規模。対面授業の再開方針はデブラシオ市長が29日に明らかにした。まず感染リスクが小さいとされる小学校と幼稚園の生徒を対象に12月7日から対面授業を再開する。当面はオンラインと対面を組み合わせたカリキュラムとなるが、同市長は週5日の対面授業提供にも意欲を示した。中学・高校の対面再開の計画は示さなかった。

デブラシオNY市長は対面授業を巡る対応で揺れた(10月、ニューヨーク市）=ロイター

同市では今秋の学校再開にあたり、教職員組合との協議で新型コロナの陽性率が7日平均で3%を超えると対面授業を中止するとの基準を設けていた。同陽性率が3%を超えたため、デブラシオ市長は18日に対面の一時中止を発表したばかりだった。足元では陽性率がなお3%を超える水準にあり、今回の対面授業再開は方針の転換となる。同市長は「現在、学校は安全との証拠が多数ある」と釈明した。

突然の方針転換の背景には保護者からの反発がある。レストランなど「コロナ拡散」の場となりやすい店舗の営業は認められているが、対面授業の中止が決まったからだ。子どもを預けられない保護者は働きに出られなくなり、生活の苦しい低所得者ほど厳しい状況に追い込まれている。

オンライン授業は共働きの保護者に不評（9月、ニューヨーク市）

対面授業を巡る難しい判断は他の地域も迫られている。東部ロードアイランド州はコロナ感染の拡大を受けて、30日からバーやスポーツジムなどの営業を一時禁止する。一方、学校の対面授業は続ける方針だ。米紙ニューヨーク・タイムズ（電子版）は東部ニュージャージー州のマーフィー知事が州内の各学区の責任者に対面授業の再開を求めていると伝えた。

米国では11月に入ってコロナ感染の拡大に拍車がかかっている。感染状況を集計している「COVIDトラッキング・プロジェクト」によると、28日の1日当たり新規感染者数は約15万人で依然高水準だ。26日の感謝際を巡ってはその前後に数千万人規模での人の移動が見込まれており、今後感染者が急増することが懸念されている。

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November 30, 2020 at 06:33AM
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