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<日本の岐路 6月をつづる>今やるべきこと 政治部長・高山晶一 - 東京新聞

 国会は本来、内閣の意向に左右されず、国政の重要課題を議論する役割を担う。そうではない現状に警鐘を鳴らす画期的な判決が今月10日、那覇地裁で出た。

 「総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は(臨時国会の)召集を決定しなければならない」とした憲法53条に基づき、野党議員らが2017年6月、臨時国会の召集を求めたのに、安倍内閣が3カ月以上応じなかったのは違憲として、損害賠償を求めた訴訟の判決。53条に基づく召集は「憲法上明文をもって規定された法的義務」であり、「内閣に認められる裁量の余地は極めて乏しい」との判断を示した。

 判決で注目したいのは、召集しない場合「国会と内閣との均衡・抑制関係ないし協働関係が損なわれるおそれがある」として、国会と内閣の健全な関係を強く求めている点だ。

 安倍政権は、こだわりの法案を成立させたいときは国会の会期を大幅に延長するが、都合の悪いときは国会審議を避ける傾向がある。15年には通常国会を95日間も延長し、違憲の疑いが強い安全保障関連法を成立させたが、その後は53条に基づく臨時国会の召集要求に応じなかった。17年の召集要求に3カ月以上応じなかったころは、「共謀罪」法や森友・加計問題で批判が高まっていた。

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 今も、安倍晋三首相は国会審議に極めて消極的だ。かつてないほど多くの不都合な問題を抱えているからだ。

 昨年の参院選で、首相の意向に沿う形で自民党が擁立した河井案里参院議員と夫の克行前法相が、公選法違反(買収)容疑で逮捕。新型コロナウイルス対応では持続化給付金の不透明な業務委託が問題に。「イージス・アショア」配備計画の撤回を巡っては、そもそも米国追従で無理に導入を進めたと批判されている。

 通常国会の会期を延長せず、17日に閉幕させたのは追及を避ける狙いがあったことは明らかだ。12日に成立した2020年度第二次補正予算には10兆円もの予備費を盛り、新たな補正予算案を国会で審議しなくても新型コロナ対策にお金を使えるようにした。

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 9日の衆院予算委員会で野党議員が、53条に基づく要求があれば臨時国会を開くよう確約を迫ったのに対し、首相は「仮定の質問に答えるのは差し控える」と受け流した。その翌日に出た那覇地裁判決。首相が判決を尊重するなら、要求があれば遅滞なく応じなければならないし、無視すれば強く批判されるだろう。国会召集に政治的意向が働きやすい現状を転換するきっかけになるだろうか。

 折しも、新型コロナの感染が拡大している。東京都の新規感染者数は27、28両日、緊急事態宣言解除後の最多を2日続けて更新した。これこそまさに今、議論しなければならないことだ。今秋の衆院解散・総選挙の可能性がささやかれ、与野党の関心は政局に移っているように見えるが、その前にやることがある。(今回から筆者が交代しました)

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