<佐々木主浩氏評論>
<ア・リーグ地区シリーズ:ヤンキース4-8レイズ>◇第3戦◇7日(日本時間8日)◇ペトコパーク
今日の田中将大投手は真っすぐも95マイル(約153キロ)出ていたし、調子自体は悪いとは思わなかった。ただ気になったことが2つ。まず、ずらりと並んだ左打者に対して、外角のボールゾーンからストライクに入ってくる、いわゆる「バックドア」のスライダーを多投していたことだ。
この球はコントロールしづらく、技術的に一番難しい球。真ん中に入れば痛打される可能性も高い。先制を許した2回のウェンドルの右前打も真ん中にきたスライダー。4回のキーアマイヤーの1発も同様にバックドアでストライクを取ろうとしたカーブが甘く入ったものだった。
田中の制球力を信頼しているからこそなのだろうが、あの球を全部いいところに投げられる投手はそうはいない。田中はツーシームもあるのだから、内角のスライダーと外に逃げるツーシームのコンビネーションで十分だと思う。捕手のヒガシオカが序盤に田中のバックドアスライダーの状態を見て「別の球を軸にした方がいい」と感じ取るべきだった。
もう1つ気になったのは、平行カウントや初球などで高めのボール球を放るケースが多かったこと。それを見送られて球数が増え、カウントも不利になっていた。ヒガシオカはエース・コールの“専属捕手”として活躍してきた。常時100マイル(約161キロ)近い球を投げるコールであれば、あの高めを空振りしたり、ファウルするだろう。ヒガシオカのリードは田中には合っていないと感じた。調子自体は悪くなかっただけに、軸にすべき球を見誤った配球が本当にもったいなかった。(日刊スポーツ評論家)
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